Digital 2.0がもたらすバンキングビジネス変革の波

オンデマンド・サービスを提供するアジャイル・サービスユニット

銀行は、オンプレミスシステム間の依存関係を解消するため、よりアジャイルなIT運用の道を模索しています。それはすなわち、変化に対する適応性を高め、総所有コストを軽減し、想定される需要に対応すると同時に、全てを「as-a-Service」として提供することになるのです。

そういったサービスの一例として、KYC・AML業務を複数の銀行で共有するユーティリティへ転換する取り組みがあげられます。銀行は、ブロックチェーンなど安全が確保されたテクノロジーで構築されたシェアードデータベースを用いて「Customer-as-a-service」モデルを確立できます。これにより、顧客のプライバシーや個人情報のセキュリティを損ねることなく、KYC・AML業務の中で顧客情報の確認が可能となるのです(次ページ図8を参照)。


図8で示すように、未来型銀行はブロックチェーンデータベース上の関連情報を共有することにより、KYCのas-a-serviceモデルを構築することが可能です。ブロックチェーンデータベースには、承認されたノード間でデータを共有するための通信プロトコルや標準プロセスを提供するオープンバンキングコンポーネントを備えています。

前述のコンポーネント(オープンAPIを用いたIoT、AI、ブロックチェーン、RPA)は、バリューチェーン全体を刷新するソリューションを構築するのに適した特性を備えています。

たとえばAIは、RPAの必須のパートナーと言えます。RPAは反復作業実行の学習が可能ですが、一方RPAと連携するAIは、プログラミングすることなくルールを導き出し、プロセス自動化の設定をより簡略化する学習システムを提供します。画像認識や自然言語処理(NLP)などを用いた手書き文書の読解も可能です。一方で、ここには自動化だけでは克服できない問題が存在していると認識することも必要です。

次ページ図9で示すように、金融機関が将来的なユースケースを作成し、より完成されたソリューション構築に取り組む際に、Digital 2.0のシナジー効果を考慮しておくことをご提案します。

未来型銀行の構築

Digital 2.0は「個々のコンポーネントが持つ能力」と「エンドツーエンドの顧客体験を強化するデザイン」を融合させることにより、銀行の運営手法に変化をもたらします。 そのトランスフォーメーションは多くの銀行・金融機関において以下のような4段階アプローチで行われると考えられます(図10参照)。

1. 企業レベルで既存業務の把握・分析
2. 個別に情報が分断されたサイロとならないように、Digital 2.0のコンポーネント中心とした新たなアプローチを実現できる一連のコンセプトを定義
3. 一連のコンセプトを一つのスマート製品としてパッケージ化
4. スペシャリストやデリバリチームのサポートを受けながら、製品オーナーが統括する熟練したグループが製品構想を実現

Digital 2.0の導入に際しは、次に挙げる2つの原則の順守が成功の鍵となるでしょう。 まず第一の原則は、社会や周囲の環境から求められるニーズと社内に保有する能力の両者を併せて検討し、Digital 2.0コンセプトと製品定義を固めることです。 第二に、一元管理されたインキュベーショングループを組織することです。コンセプト開発とプロトタイピングを迅速に行い、構築プロセスの段階から顧客を完全に取り込めるよう集中的に対応します。Digital 2.0構想を進めるにあたって、各業務部門が概念化からデザイン、製品提供、そして機能改修に至るまで積極的に関与していく必要があります。